安曇野の鏝絵-15   干支に出てくる動物たち 

広い敷地内に漆喰壁の蔵が、ポツンと建っています。安曇野の近くの山形村です。

よく見るとなまこ壁は、手の込んだ亀甲文様になっています。なまこ壁の瓦部分は灰色顔料を塗り、見た目にやわらかさを与えるようにしています。

そして、妻面にある蔵窓を囲むように鏝絵が描かれています。     

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丸プレート(牛鼻)とは違って、こうした鏝絵は描く対象をそれぞれの部分に分けて描くことができるので、職人の腕の見せ所かもしれません。 

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まぐさに唐草模様を左右対称に入れ、

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まぐさの上の庇に近い妻壁に、波間を跳ねるウサギ(波ウサギ)です。波は水の図柄で火除けの意があり、ウサギは山の神の使いで安産のシンボルで子孫繁栄の願いをこめています。

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下の小枠に龍がうねった波の中から顔を出しています。龍は雨雲を呼ぶことから火除け祈願が込められています。

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ウサギも龍も干支に登場しますね。

先日、筑北村坂井へ行きました。遅れてきた春。訪れた日はちょうど桜が満開となっていました。

遠目からも、ひときわ目立つ農家蔵がありました。

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牛鼻(棟木の小口部分)に、変わった絵柄の鏝絵があります。近づいて見ると、犬と猪が描かれています。十二支の中でも鏝絵で好んで描かれるのは、龍や兎、虎などが多いのですが、丑、巳、午、戌、亥はそうありません。

この鏝絵には戌、亥がともに描かれています。これはどういう気持ちを込めて描いたのでしょうか?

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一般に犬はお産が軽いことから、安産と子どもの成長を願う意味が込められます。また、猪は旧暦10月の亥の日に行う刈り上げ行事に亥の子餅を作って食べ、万病除去、子孫繁栄を祈る年中行事が農村部に残っています。

こうした意味が込められた鏝絵なのでしょうか。

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それとも、猪は里山に下りて来て田畑を荒らすことがよくあります。その猪を犬が追い払っているようにも見えるのですが…。

 

* 安曇野とその周辺で見ることができる鏝絵を「安曇野の鏝絵」として紹介しています。

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