いま安曇野は田植えの時期を迎えています。
棚田といえば傾斜のきつい山間地にある稲作のための水田ですが、日本の原風景として親しまれてきた景観も、近年ほとんど見られなくなりました。効率的な農作業と生産性の高い水田をめざして造成した圃場(ほじょう)整備事業が進んだことからです。
安曇野では標高の高い山間地の一部に、わずかですがこの棚田を見ることができます。田植えの時期を迎え棚田に水が張られ、まもなく早苗が植えこまれようとしています。
棚田が残るのは、安曇野市明科の清水集落です。安曇野を一望できる長峰山に上る途中にあります。
標高が700mあり、四方が山に囲まれた急傾斜地に階段状に水田があります。棚田の面積は合わせて5ha(5町歩)あるそうです。
急峻な山間地ですので、過去にこの周辺は地滑りに遭っています。地滑りは、肥沃な土壌を運んで来ました。その跡地を先人が棚田に変えてきたのです。
肥沃な土壌に加え山から湧き出る水が豊富で、田んぼに引いて潤します。自然の恵み、力を最大限に生かした稲作かもしれません。
形が不揃いな田んぼに、上から下へ段々と水が回るように水路が造られています。
水が張られた田に、カルガモが水浴びしています。冬眠から覚めたアマガエルも鳴き始めています。
周辺の道はヤマブキの花が真っ盛りです。ウグイスやオオルリのさえずりも近くから聞こえてきます。
タチツボスミレも花を誇っています。なんとも山間地ののどかな風景ですが、
田起こししていた農家の人の話によると、トラクターを入れることができないため小型耕運機で起こすので時間が掛かるといいます。
また、日照時間が短く、水も冷たいことから米作りには工夫や努力が必要になるといいます。
でも身体の続く限り米作りを続けて棚田を守っていきたいと話していました。今年は11枚の田んぼに、15日に田植えをする予定だといいます。