松本市開智2丁目にある旧松本カトリック司祭館。平成3(1991)年に、この地に移築復元しています。
長野県最古の木造西洋館で、明治22(1889)年にフランス人神父・クレマンが宣教師用住居として設計しました。
設計図を見て地元の大工さんが着工。外観は、アーリーアメリカン様式(アメリカ開拓時代にイギリスから移入した建築技法)と呼ばれる羽目板の横張り工法です。
1、2階の各部屋に、信州の寒さをしのぐため暖炉が設置されています。
屋根上にレンガで積んだ大きな集合煙突が2基あります。
木造家屋の上にそびえ立つような迫力があります。
高い基礎部分にもレンガが使用され、イギリス積みで仕上げています。換気のための空気穴はアーチ状に組まれています。
高床式で基礎が高いので、内部では床下に収蔵室があり司祭や伝道師たちの各部屋には母国から取り寄せたワインを収納していたという話も伝わります。
遺されたサイドボードなどの数少ない家具調度類も、シンプルな装飾と艶のある木目が荘厳さを漂わせています。
裏口の階段は6段あります。ワインを収めていた貯蔵庫の深さが分かるのではないでしょうか。