今月のある日、開店して間もなく、一人の若い女性が来店されました。
「鍾馗さんの屋根瓦に関心を持っているものです。こちらのブログに鍾馗さんが載っていましたので、在り場所を教えていただけないでしょうか」と来訪の目的を告げられました。
山梨県から車を飛ばしてきたとのこと。所用も入っていましたので限られた時間内で道案内することになり、すぐに車に同乗していただき、8カ所ばかり撮影に出かけました。
お聞きしますと、鍾馗探訪歴6年とか。遠く京都や三重県内などにも何度か足を運ばれていて、kiteさんの師匠さんで瓦鍾馗研究の先駆者・服部正実さん(京都府在住)に師事したこともあるということです。
naoさんと名乗る“鍾馗ガール”さん、300ミリ望遠を構えたポーズも堂に入ってます。
そして、A地点からB地点へ移動する道すがら、後部座席から「ありました!」の声。これまで未発見だった鍾馗瓦2体を見つけていただきました。
その一つが上の写真。豊科中曽根で見つけたものです。最近の新しいものですが、威風堂々としている鍾馗さんです。
こちらもnaoさんが見つけて下さった豊科駅前通りにあった鍾馗さん。「このポーズ、歌舞伎役者が見栄を切るのに似ていますよね」と笑みを含んで評したnaoさん。
そうです。市川團十郎の歌舞伎十八番「暫(しばらく)」で、鎌倉権五郎が花道から出てきたときのあのポーズです。似ていますよね。
この鍾馗さんも、右手に持った剣の刃部分が欠損していて、柄(つか)の部分が僅かに残っています。
「いえいえ、剣が欠けていても勇ましい鍾馗さんですよ。左手を丸めて形を変えれば弓を引いている格好になりますね」は、大阪府在住のおとんさんの評。
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この日見て回った鍾馗さんで、これまでに当ブログでご紹介していないものを掲載します。
これは上の鍾馗さんのすぐ近くにある居酒屋さんで、リフォームした蔵の上に据えられてあるもので、対になっているうちの一つです。(入口側の上にいる鍾馗さんはこちらです。鍾馗瓦を研究しているkiteさんの資料はこちらになります)
明科中条の小屋根の上にいた鍾馗さんです。立派に蓄えた顎鬚(あごひげ)に手をやり、自慢げでしょうか。
豊科熊倉にある鍾馗さん。こちらは少しメタボ気味?
naoさんは、やはりほほ笑んで「エジプトのスフィンクスに似ていません?」と印象を語ったのが、下の鍾馗さん。あのライオンの身体と人間の顔を持った神聖な怪物を模った石像に確かに似ていますね。
蛇と禿鷹(はげたか)のついた頭巾を被った黄金マスクのツタンカーメンも連想できるかな? 明科押野にあります。
そして、別れた後にnaoさんが単独で探し当てた鍾馗瓦です。豊科新田の「立派なお屋敷の屋根に在りました」とのことです。
下は、豊科田沢の国道19号沿いにある鍾馗さん。この日、案内できなかったのですが、さすがnaoさんはご自分で探し当ててきました。
naoさん曰く「変わり種の鍾馗さん、マンガチックで笑えます」。
naoさんの鍾馗瓦評、的確でおもしろい表現、勉強させていただきました。