安曇野・堀金の民家の屋根に、七福神の一柱の恵比寿がいます。風雪から建物を守る鬼瓦などと違って、魔除けや願望をこめた飾り瓦です。
恵比寿は、狩衣をまとい、右手に釣り竿、左脇に釣り上げた鯛を抱えていることから分かるように、大漁をもたらす漁業の神です。頭に被っているのは、風折烏帽子(かざおりえぼし)です。
恵比寿は、日本古来からの福の神で、七福神の他の神がインドや中国に由来するのと違っています。
漁業の盛んなところに市が立ち、そこに田や畑の作物も並ぶようになり、やがて商業の発展へとつながり、恵比寿さまは商売繁盛の神としても崇められるようになりました。
「商売繁盛で笹持って来い」のお囃子で知られる大阪の今宮戎(えびす)神社の十日戎は、毎年、全国から100万人の参拝者でにぎわうそうです。
身近な神さまに親しみを込め、「えべっさん」の愛称で呼ばれている福の神です。「えびっさん」、、「おべっさん」と呼んでいる地方もあるようです。
十日戎にあるように、恵比寿のほか、戎、夷、胡、蛭子、恵比須、恵美須などの漢字を当てられることもあります。
こちらのお宅は会社経営、あるいは何か商売をしているのでしょうか。商売繁盛・招福、家運隆昌の願いを込めて屋根に恵比寿を飾っているのではないかと思われます。
上の2ヵ所の恵比寿は大体同じようなポーズですが、あごひげがあったりなかったり、抱えている鯛の姿なども、作者の鬼師さんによって少しずつ異なっています。
旅先で恵比寿、大黒、そして布袋さまを見かけました。年代もののようで、恵比寿、大黒天は姿形が必ずしも鮮明ではありませんが、また違った趣がありますので掲載します。
いずれも、岐阜県の郡上八幡(ぐじょうはちまん)で撮影しました。
このあと続けて、親しみやすい飾り瓦をご紹介します。