かつては善光寺に参る善男善女が通った善光寺西街道の宿場があった筑北・乱橋。この春、瓦鍾馗探訪の旅を続けているkiteさん(愛知県在住)、おとんさん(大阪府在住)と一緒に訪れました。
宿の辻に木造モルタル塗りの一軒の大きな家があり、ここの屋根に大黒さまが飾られています。
大棟の一方にある大黒さま。
打ち出の小槌、二俵の米俵に乗っている型どおりの大黒天。顔をよく見ると眉が下がり気味、全体として貧相な表情(失礼)に見えるのですが…。
小屋根にあるこちらの大黒さんは、松竹梅に囲まれにこやかな笑顔をしています。
でも大黒さんは今風にいえば、メタボな体躯で重量感のある風貌が通り相場。こちらはスリムに過ぎませんか。食糧事情がよくなかった頃にでも制作されたのでしょうか?
松竹梅に囲まれて手にしている「大」の文字の入ったものは、大福帳でしょうか。うりざね顔気味でヘアースタイルからいっても女性のようです。だとすると、お多福さん(?)でしょうか。
大棟の反対側に乗っている苔むした飾り瓦です。にこやかな顔の表情は分かるのですが、他の部分の傷みが激しいのに加え、隣家との関係でこれ以上の撮影ができません。結局、何をかたどったのかは判別できませんでした。
全体として荒作りの手づくり瓦で、かなりの年月を刻んで屋根に飾られてきたことが分かります。母屋もあちこちに傷みが見受けられますが、なんとか生き延びてほしいと願わずにおれません。
同じ筑北村のずっと離れた場所で見つけた現代版大黒さま。これも塀の上に飾られていました。
同じ集落で、また別の大黒さまに出合いました。上の写真、右の屋根上に見えているのが分かりますか?
近づいて見ると、大笑いしているではありませんか。よほどいいことがあったのでしょうか?。蓄財が溜まり込んだとか…。
対で飾られているのですが、反り返って大笑いしているのが分かるかと思います。
そんなに笑って屋根から落ちませんように…。
下は四賀保福寺で見た大黒さま。柿の木の僅かな隙間から顔をのぞかせていました。
大黒さまには欠かせない打ち出の小槌。三郷温(ゆたか)で、打ち出の小槌が単独で飾られている鬼瓦に出合いました。
おとんさんが評してくれまた。 「打ち出の小槌が入った鬼瓦はときどき見かけますが、ぐるぐる渦巻き模様の入ったのは初めてです。宝物が当家に入ってきても、波紋のように近所にも広がりますように……はたまた逆に、宝物は渦巻きの中に入って、当家だけに来るように……」。
この宅の家人は、どのような意を込めて飾ったのでしょうか。
* kiteさんが他県で見た大黒さまを含む七福神瓦について、こちらで紹介しています。
また、kiteさんが顔の表情について詳述したブログがあります。こちらです。