穂高の西側、すなわち最も北アルプスに近い南北に走っている通称・山麓線と呼ばれる道路があります。ここに「烏川(からすがわ)橋」があります。名前の通り、烏川に架かる橋です。
今、架かっている橋は昭和62(1987)年に竣工しています。延長は74㍍、幅員は8㍍です。
この烏川橋の両側に道祖神の親柱があり、安曇野に架かる橋であることを強く表現しています。
烏川の本流は蝶ヶ岳から流れ出る蝶沢が源流で、途中、常念岳からの支流と合流し、あちこちで急峻な流れが見られます。烏川の全長は16㌔㍍で、見るからに冷涼感が伝わってくる川と言っていいでしょう。
この烏川橋から上流域に足を運ぶと、延命水やお種の水といった沢の名水があります。
橋から烏川の流れを眺めると、額縁に入れてもいいような景観が望めます。雪が降った日は、さながら山水画を見るような風景に出会うことができます。
この橋の北側の袂に、太古の昔、湖に被われていた安曇野一帯の水を抜いて豊穣な地にしたという伝説が残る「泉 小太郎の石碑」があります。そして、その反対側に小さなかわいい双体道祖神が、路傍に祀られています。
烏川橋は、明治31(1898)年に現在の位置より500mほど上流に架けられたのが始まりのようです。当時は吊り橋でした。
古刹・満願寺がこの橋の北西側にあり、昔からお参りする人たちが近郷近在から多く訪れたといいますから、吊り橋の烏川橋を渡っていったことでしょう。