安曇野に伝わる小正月の行事をもう一つご紹介します。
正月飾りを燃やして、この年の無病息災を願う「三九郎」が安曇野各地区で行われています。三九郎とは、通称「どんど焼き」とよばれる小正月の伝統行事ですが、安曇野、松本地方では昔からこの名で呼ばれています。
「三九郎」は、松の取れた8日ころから始まり今月15、16日ころまで、各地区で取り組まれます。今年は、9、10日の連休がピークとなりました。
10日、安曇野市堀金・多田井でも、地区の子どもたちと家族40人余りが参加して行われました。
冬枯れした畑に4メートルほどの青竹で作った柱にわらや松、杉の小枝でやぐらを組み上げました。それに子どもたちが朝早くから各家庭を回って集めたしめ縄、門松などの正月飾りやダルマを取りつけます。
陽が山の端に傾いたころ、やぐらに火を付けるとモウモウと煙りが立ち上がり、まもなく火の手が瞬く間に燃え広がって竹が弾けて大きな音を立てると子どもたちから歓声が上がりました。
火が鎮まると、それぞれ持ち寄った柳の枝などに刺したまゆ玉団子や餅をおき火にかざして焼き上げ、火で赤く火照った顔をしながら口にほうばっていました。
焼いた餅やまゆ玉を食べると、この1年病気をせずに暮らせると親から子へと代々語り継がれてきた新春の伝統行事が今も安曇野に残っています。