飾り瓦として、おそらく全国的にも珍しいのではないかと思われる「浦島太郎」の瓦像があります。
それも、竜宮城から戻った太郎がお土産の玉手箱を開ける前の喜びに満ちた表情と、開けた後に一瞬にして年老いた姿に変わった一対で、手の込んだ飾り瓦です。
この浦島太郎瓦があるのは、穂高・宮城の有明山神社の手水舎の屋根の上です。社(やしろ)の入り口でもあるので、樹齢の永い樹木の陰となり、屋根瓦は苔むしていて年代を感じさせます。
(横から見ると、髪や髭が伸び背も丸く、顔には皺がより一気に年とった浦島のなかなか細かい描写になっています)
この手水舎には、他にも孔子と孟子(これも珍しい!)、狛犬(こまいぬ)、鯱(しゃち)なども屋根の上に鎮座しています。(以後、順次ご紹介します)。
鬼瓦部には、豪華な菊水と紋所、竹林に虎が彫られています。(10月15日の「安曇野の屋根瓦-1」に掲載しました)。
そして、この手水舎は、他にも見どころがたくさんあります。手水が流れる口にある龍のブロンズ像が、するどい爪の部分までリアルに細工されています。
さらに見落としがちなのですが、屋根の反対側、すなわち天井部にみごとな龍の彫刻が飾られています。口の中が赤く彩色され、たけだけしさがいっそう迫ってきます。飛騨の匠の作ということです。