いま穂高の中心市街地を歩くと、あちこちの広場や空き地に太い材木と、しなりのある枝木で組んだ大きな木枠を目にします。
これは何かと言いますと、今月27日(月)に繰り広げられる「お船祭」の主役になるお船の骨組みです。
櫓(やぐら)、撥木(はねぎ)、横木などの大きな骨組み以外で使用するのは、今年になって山から切り出された「なる」という新木を使っています。
この船形の山車(だし)は、大人船と子供船があり大きさが違います。大きな大人船は、長さ12㍍、高さ6㍍、幅3㍍にもなり、船の中には10人以上の人が乗ることができます。
お祭り当日は、この骨組みに様々な意匠が施されて本番を迎えます。まず船の周りは、各家庭から提供された数十枚もの着物で美しく飾られます。
そして、穂高人形と呼ばれる木、藁(わら),砥の粉、膠(にかわ)などすべて昔ながらの材料と道具類で作られた人形で、豪華な歴史物語の1場面が山車に据えられます。
4個の車輪に乗った船の上で、子どもたちが奏でる笛、太鼓の演奏とともに、「お船」が各町々を練り歩きます。
その後、神社境内に集まって神楽殿を三周した後、祭りのクライマックスを迎えます。2艙の大人船が相対峙して、互いに船の正面を向け合ってぶつけ合うのです。
海無し県の信州・安曇野で、なぜ船に因んだ祭事かというと、その昔、北九州や朝鮮半島を拠点に活躍していた「安曇族」が、この地に移住してきたのが、今ある安曇野の始まりになったという歴史があります。
こうした祖先を偲んで船を御神体として祀るようになったという説が有力のようです。
*お船祭りについて詳しく知りたい場合は、こちらです。→http://www.hotakajinja.com/