途中まで、須佐渡の延命水へ行く道と同じコースをたどります。ウェストン像を通り過ぎしばらく行くと、右手に須佐渡キャンプ場が見えます。キャンプ場の前に左に折れる林道があり、入り口に「おたねの水・御種神社」の表示板があります。その道を行きます。
道に沿って、烏川へ注ぐ支流が流れています。
山陰になってうす暗い場所もありますが、野の草花が迎えてくれます。
1.5㌔㍍ほど行くと道の左手に表示板があります。
道しるべが示す方向に目を向けると、2本の丸太を組んだ架け橋がありますので、これを渡ります。
ここから“けもの道”のような山道が続きます。
道の途中に「熊出没 注意」の張り紙があります。そして幾つもの沢が流れていたり、湿地も歩きます。
ですから熊よけの鈴やトレッキングの軽装が必携です。
急峻な道が続き…
道すがら苔むした倒木があったり…
足場のよくない沢地があったりします。
20分ほどこの様な形で山に踏み入ります。
荒くなった息を整えながら先を見ると、小さな鳥居があります。御種神社です。
昔、飛騨(岐阜県)に住むおたね、おすげの姉妹が信濃にいる父親を慕い幾日もかけてアルプスを越え、ようやく安曇野にたどりついたものの飢えと疲れで力尽き、父に逢えぬまま命を落としたという言い伝えがあります。
姉のおたねが絶命したのがこの地であったことから、悲しんだ村人たちが「おたね様」として祀り社(やしろ)を造ったのだそうです。
鳥居をくぐると石でできた小さな祠(ほこら)があり、その下から清水が湧き出ています。乾いた喉を潤すには、絶好の冷たさです。
近くに案内板があり、この「おたねの水」について次のように記されています。
この「水を味噌かきに使うと味噌は違うことがないし、違った味噌もこの水を入れてかき直すとうまくなる」「この水で目を洗うと眼病が治ると言われた。また、祠の物を盗んだら目がつぶれたとも言われている。」
そして、この沢の水はどんなに日照りが続いても涸れることは決してなく、この水を求めて近郷近在はいうに及ばず、遠くは越後(新潟県)からも汲みに来たということです。