今、安曇野を歩くと畑のあちこちにみずみずしい青菜を目にすることができます。野沢菜です。晩秋ともなると、他の作物の穫り入れもすでに終わり周辺の風景もさびしくなっているなか、ひときわ目立ちます。
11月も半ばを過ぎると「御菜(おな)、漬けたかね」が、近隣同士のあいさつ代わりになります。信州では、野沢菜のことを親しみをこめて御菜とよびます。
早いところでは、野沢菜漬けを済ませた宅もありますが、これからがいよいよ本番を迎えます。というのも、畑の野沢菜は霜にあたるとやわらかくなり、おいしく漬けあがるからです。
漬け方も、その家ならではの慣わし、伝統があり、各家で違ってきたりします。塩、ザラメ、しょうゆ、みりん、たかのつめ、酢などを使ったりしますが、もちろん使わない宅もあれば使う分量も違うといった具合です。
これから週末などは、寒い季節に漬け込みますので短い時間内で終えようと、一家総出で野沢菜漬けを行う風景がみられます。そして、年末から正月には新しく漬けあがった野沢菜が食卓を飾ります。