鬼師が遺した仕事 ~ 信濃国分寺の古い飾り瓦(上田市)

上田市にある信濃国分寺に立ち寄りました。

国分寺本堂(薬師堂)は、長野県宝に指定されています。説明板によると、本堂を起工したのが天保11(1840)年で、20年後の万延元年に竣工したといいます。

 

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建立の発願から竣工にいたる記録が、「信濃国分寺勧進帳」として残されていて全11冊に及びます。そのなかに屋根瓦は、三河から招かれた瓦師が請け負ったと記されています。

ここに上がっている装飾瓦は珍しいものが多く、好事家を喜ばせるものと言っていいかもしれません。

本堂の上にあって目を惹くのが庇の上にある烏天狗と天狗の面瓦です。

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二層に見えますが主屋の上に庇が掛かりその上から正面の参道をにらんでいます。「悪魔や悪者が入って来ないよう 寺を守っています」と説明書きに書かれていました。

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本堂の屋根に2体の人物瓦が上がっています。

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向かって左手に神農です。中国の薬草の神様です。 この神農さんの装飾瓦は全国的にも珍しいようで、長野市若穂川田で見たものと合わせて2体目になります。

神農さんの正式名は神農炎帝といって、百草を嘗めて効能を確かめ医薬と農耕を諸人に教えたといいます。

草を噛んで薬効を確かめている姿があれば、神農さんを表した可能性が強いということです。

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右手にあるのが少彦名(すくなひこな)という日本の薬祖神で、この神様は薬草のほかに温泉、酒造など多彩な能力を持つ神だということです。

左手に持っているのは、すべての願い事をかなえてくれるという宝珠(ほうじゅ)です。

本堂の説明書きに「神農も少彦名も国分寺の本尊のお薬師さまとともに、みんなの病気を治し健康を守ってくれます」と記されていました。

それにしても八百万(やおよろず)の神とはいうものの、温泉の神様もいるなんて……。温泉が枯れないように守ってくれる神様になるのでしょうか ?

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少し離れたところに住職が住む庫裡(社務所)があり、屋根から降ろされた鬼瓦、装飾瓦がたくさん保存されていました。

琴高仙人が池のほとりに飾られていましたし、あの寒山と拾得もいました。

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欠損部分が多く、特に手にしていたものが分からずどちらが寒山で拾得なのか分かりませんが、手の位置や顔の表情からいって右が寒山ではないかと思います。

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住職が留守で詳しくは聞けなかったのですが、夫人の話では平成元年に本殿の葺き替えを行った時に降ろして、現在地に置いてあるとのことです。

 

 

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