当ブログでも瓦鍾馗について取り上げていますが、鍾馗さん探しに格好の本が出版されました。
書名は『 鍾馗さんを探せ!! 』で、「京都の屋根のちいさな守り神」の副題が示すように、新しい京都散策の楽しみ方を提案しています。
千年の都・京都には魔除け、火除け、病気快癒、学業成就を願って、古くから庶民の家の屋根に飾られてきた瓦製の鍾馗。その数、3000体と推計されているそうです。
京都の町家の小屋根に上がっている鍾馗像に関心をもったビギナーが探索する時、どこへ行けばどんな鍾馗さんに巡り合えるかを11エリアに分けて地図上に落としたエリアマップと、その鍾馗さんの特徴を記しています。
鍾馗さん探しに、こんなに親切で楽しい本が出版されたのは、おそらく初めてになるのではないでしょうか。
著者は三州瓦の産地(愛知県)近くに在住する小沢正樹さんで、6年前に本格的な鍾馗さん探索を始めてから全国を巡って撮影・記録を続けているこの道の先駆者です。歩いた距離は約8,000km、見つけた鍾馗さんは9,500体にのぼるといいます。
ガイド本、入門書としての体裁ですが、コンパクトにまとめられた「鍾馗さんとはナニモノ?」「鍾馗札」「瓦鍾馗の起源」や「花街の瓦鍾馗」など興味をそそるコラム(ミニ知識)も盛りだくさん。しっかり読むと、けっこう “通” になったような気分になれます。
小沢さんは「戦後日本の経済変化は瓦産業にも容赦なく押し寄せ、かつては成立していた地元で地元のための瓦を作る瓦屋さんは現代には生き残ることができませんでした。結果として手作りの味のある鍾馗さんは今もどんどん減っています。(中略) 本書が少しでもその流れに棹差して鍾馗さんの保存につながるとすれば、(中略) 京都の町をひとり歩いて鍾馗さんを記録し続けた私にとって、ほんとうにうれしい限りです」と記しています。
『 鍾馗さんを探せ!! 京都の屋根のちいさな守り神 』
小沢正樹著 淡交社刊 1,470円(税込み)
注文取り寄せは、こちらからできます。
* 小沢正樹さんは、ハンドルネーム「kite」さん名で当ブログにコメントをいただいたり、記事にも登場したりしています。
* kiteさんこと小沢さんは、鍾馗さん探索で信州に数回、うち安曇野に昨年2回来訪されています。その際、kiteさんが発見された鍾馗さんが本書(「各地の鍾馗さん」の項。P119)に収められています。
* 『 鍾馗さんを探せ!!』が刊行されるまでの裏話が楽しめます。こちらから。
* kiteさんのブログには、各地で収蔵した鍾馗さんが満載です → 鍾馗博物館 。また、探索行の記録は→ 鍾馗を尋ねて三千里 で。