現役を引退しても、今なお根強い人気を誇る蒸気機関車。安曇野市内でも2カ所に静態保存されています。D51(デゴイチ)とC56(シゴロク)の2車種ですが、このうちD51は広島で被爆体験した車両です。
このD51が保存展示されているのは、穂高有明の「サンクラブ穂高」(スイミングスクール)の敷地内です。
周りは田んぼで、人家も離れていて撮影の障害になるようなものもほとんどありません。日本の山野を走っていたころを彷彿とさせる姿で展示されています。
そしてうれしいのは、運転席へ上っていける鉄製の階段がついていて、いつでも自由に運転席へいけることです。運転席にも座れますし、石炭を燃やした釜も見ることができます。
このD51483号は、昭和15年に北九州市の国鉄小倉工場で製造され、熊本から広島の機関区へ配属され、昭和20年8月の原爆投下時は、広島にいたため“死の灰”を浴びています。
戦後は北海道へ渡り、主に貨物輸送に使われ昭和51年まで活躍したということです。
その間の走行距離は、約256万㌔㍍で地球を63.8周したことになるとか。戦前、戦中、そして戦後にわたり、日本各地でさまざまな歴史をみてきた蒸気機関車が、いま安曇野に鎮座しています。
このD51が安曇野に来たのが昭和52年、以来「あづみのD51保存会」の人たちの手によって大切に保存されています。
* もう一つの保存車両C56は、近くご紹介いたします。