レンガ積み職人が遺した建造物~信州編   良質の生糸を製造した貯水タンク(岡谷市)

岡谷市の中心部の小高い丘の上に、コロセウム闘技場を彷彿とさせるレンガ製の遺構があります。丸山タンク(中央町1丁目)です。

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品質の良い生糸を製造するためには、良質の水が必要でした。明治中期以降、岡谷市では製糸工場の規模が拡大にするにつれ水が不足しました。

下は全盛期の頃の岡谷市の風景です。

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このため大正3(1914)年に丸山タンクを建造し、650m離れた天竜川岸から水を汲み上げ、ここに貯水しました。

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天竜川にポンプを設置し導管によって水を揚げるため、ポンプ小屋には常駐の番人がいたそうです。

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レンガ造りの外壁の内側に外径7.3m、3.1mのコンクリート造りの環状壁二重に内包しています。

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レンガ積みされた外壁の径は12mで、壁の厚さは、61cmあります。

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タンクに貯水した水は、製造した生糸を運搬する蒸気機関車に給水するため近くにあった駅舎構内に給水塔を造り、配水したそうです。

レンガはイギリス積みですが、2層に分かれ上段は目地を漆喰で下段はセメントで繋いでいます。

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レンガ積みの作業にとって目地の材料とその配合の良し悪しがレンガ造の見栄えを決め、耐久性を決めるともいわれます。

通常、目地の比率は全体面積の20~25%といわれ、目地の仕上げは施工の良し悪しにもつながるというわけです。

また、関東大震災でレンガ造の建造物が崩れ落ちましたが、東京駅や旧法務省、旧帝国ホテルなどのレンガ造の建物の被害が小さかったのは、レンガ積み職人が手抜きせず指示された目地の材料と割合を忠実に守り施工したことによるものという見方があります。

 

 

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