信州の鏝絵に見る左官職人の技-12   諏訪大社 上社本宮

「お諏訪さま」と称され親しまれている諏訪大社は、全国に一万社余りの分社があるそうです。日本最古の神社のひとつで、平安時代にはすでに信濃国一之宮として敬われていました。

諏訪大社上社本宮には、額堂と称する奉納された絵馬や額を一堂に会した絵馬堂があり、全国の崇敬者が寄進した20点余りが飾られています。

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絵馬は人々が願い事を祈願したり、その願い事が叶って報謝の意味で奉納されました。

その昔は神が乗るための馬が献上されていたこともあったそうですが、生きた馬を献上するといっても経済的にも大変な負担ですし、受けた寺社にとってもその飼育に負担が掛かることから、時代とともに木札を奉納するように形式が変わったといいます。

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献額には、人々がよく知っている物語の主人公や英雄が描かれました。上のような牛若丸と弁慶の戦う場面や馬上で長刀を振りかざす巴御前などの武者絵が多く見られますが、酒や病気、悪癖などを断とうと願掛けを行う際はそれに因んだ絵柄を描いたものがあります。

下の鏝絵による献額は、武将が我が子に読み書きを教えている絵ですが、学業成就を願って奉納されることも多かったようです。

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上社本宮の額堂には、顔料を用いて描いた額絵のほかに上の献額のような鏝絵も数点見られます。

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絵馬堂内には立ち入れませんので遠目から見るようになり鏝絵と断定できないものもあるのですが、拡大すると凹凸があることなどから鏝絵であることを伺わせます。

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願主が何を願い、また大願成就に報いる気持ちを現わしたのかを推測しながら鑑賞するのも絵馬を見る楽しみ方かもしれません。

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