信州の鏝絵に見る左官職人の技-3   モルタル壁に描かれた洋風鏝絵(4)

今回も洋風鏝絵の優れたデザインをご覧ください。コメント類は省き、できるだけデータのみにとどめます。いずれも松本市内で見られるものです。

大正期から昭和初期にかけて、松本市では薬局の建物に優れた洋風鏝絵が次々と描かれたようです。一種のステータスとして流行したのでしょうか。

旧宮坂薬局(大手1丁目) 

     Img_6237

昭和8(1933)年に建設されました。当初は2階部分に立派なバルコニーがあったそうです。

     Img_6239

窓のサイズを大きく取り、窓枠の上に鏝絵の装飾が施されています。

             Img_6248

     Img_6242

出窓まで取り付けてあります。当時としては、目を惹く斬新な建築デザインだったことは間違いありません。

     Img_6243

窓枠の周辺に赤レンガを貼りアクセントをつけ、ハイセンスな設計をしています。

 

大手2丁目
にある旧上原薬局の跡です。2階の窓の上に鳳凰が描かれています。鳳凰は中国の伝説上の霊鳥で、平和な世になると姿を現わすとされてきました。

平等院鳳凰堂や金閣寺の屋根に鳳凰が飾られているように、縁起の良い鳥として美術品や建築物にその意匠が使われてきました。 

           Img_6257

鳳凰はアオギリ(梧桐)にのみ巣を作るといわれることから、この鏝絵も中央にアオギリが描かれています。そして、鳳は雄鳥、凰は雌鳥になります。

     Img_6260

これを描いた職人は、おそらく猛々しさから向かって左側が鳳を、右側が凰を現わしたのではないでしょうか。

            Img_6263

薬局、薬店を営んでいた建物に描かれた洋風鏝絵はこちらにもあります。ご覧ください。

松本市の市街地で土蔵は見ることができるのですが、蔵に描かれた鏝絵を見ることはほとんどありません。そんな中でも目にすることができた鏝絵があります。

     Img_5740_2

大手5丁目で見かけた波しぶきの鏝絵です。

     Img_5720_2

今は廃業した和菓子屋さん(大手4丁目)の妻にも月を模ったなかに屋号の金の字を書いた鏝絵がありました。

     Img_6925

This entry was posted in 未分類. Bookmark the permalink.

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。