安曇野の鏝絵-14     浦島太郎と高砂

安曇野で目にすることができる鏝絵は、台座が丸プレートに描かれているものが圧倒的に多いのが特徴です。     

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ですから、この扇型の台座に描かれた鏝絵を見た時は、新鮮な感動がありました。安曇野市豊科寺所(てらどこ)にあります。

扇子のような扇型は、元が狭く末が広がる様相から物事が発展することに通じるとして縁起の良い形として好まれてきました。

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絵全体も立体感を持って描かれていて、熟練した腕を持つ職人さんの作によるものです。

木の枝が徒長していて浦島太郎と亀の姿に被さり、カメラアングルがなかなか難しかったのですが、なんとか…。昔語りの亀に乗る浦島太郎は、長寿祈願に用いられる題材です。

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最近、大手新聞が読者を対象にした「あなたが後世に伝えたい昔話は―?」のアンケートで、浦島太郎は「鶴の恩返し」に次いで2位にランキングされていました。「なぜ玉手箱を開けたら老人になったのか、いろいろ考えられ大人になってもおもしろい」―などが支持された理由のようです。

松本市内田でも手の込んだ力作にお目にかかることができました。

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満月が照らす中、老松の下に翁(おきな)と嫗(おうな)がいます。高砂の松と住吉の松とが相生(=相老)の松であるとし、夫婦和合、長寿祈願を表わす高砂の図です。

この鏝絵の中には、さらに鶴と亀が描かれ長寿祈念の縁起尽くしになっています。  

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直径40㎝ほどのプレート内に、これだけの多くの図柄を手早く描くというのは高度な左官技術が要求されます。

浦島太郎、高砂―どちらもこの家の人々が家内安全で天寿を全うすることを願う意が込められています。

* 安曇野とその周辺で見ることができる鏝絵を「安曇野の鏝絵」として紹介しています。

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