取り壊しが始まった3連アーチの常盤橋

かつて「 姿を消そうとしているコンクリ製3連アーチの常盤橋 」(2011.1.27) について書きました。その常盤橋の解体工事が14日から始まりました。

人目を惹く3連の太いアーチと、橋の路面を支える堅固な桁を組み合わせた素朴な橋でした。古き良き時代の歴史的生活遺産が、また一つ失われようとしています。

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3連アーチのうち、すでに一つのアーチは取り壊され跡かたもなく消えています。橋桁の取り壊しを行いながら作業が進行していて、骨材がむき出しになっているのが見えます。

大型重機5機が解体工事に取りかかっていて、予定では今月末には解体に伴うすべての工事が完了することになっています。

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この架橋は昭和36(1961)年に竣工した安曇野市穂高を流れる穂高川に架かる3連アーチの堅固な鉄筋コンクリート製ロゼット桁橋です。

橋の上部に弓形のアーチリブというアーチ状の構造物を載せ、下向きにかかる橋の重さを川の両岸に逃がして強度を保つという長野県が考案した橋でした。

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景観に配慮するため表面に彫り込みを入れ、コンクリートの圧迫感を和らげる工夫も施されていました。橋梁の専門家は「常盤橋はデザイン的にも優れ、当時の担当者の情熱や心意気がよく表れている」と評価していました。

同じ設計者による県内の5橋は、鉄筋コンクリート・ローゼ桁橋として平成14年、土木学会選奨土木遺産に選定されています。

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県道に架かる橋ですので管轄は長野県になります。戦前に県職員の技術者が編み出した誇るべき架橋を、県の手によって16億円の公費を掛けて新橋に架け替え直すという公共工事が進んでいます。

老朽化、狭隘化が取り壊しの理由ですが、歩行者や自転車などの専用橋として残し利活用を図るという方法もあったはずです。

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現在、解体工事の進む常盤橋の近くに旧常盤橋の橋桁が残っています。しかし、今取り壊される常盤橋は何も残さないようです。

 

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