似た図柄を描いても同じものを作らないという職人気質を見せつける作品が、この村にも残っています。
いずれも安曇野近くの東筑摩郡山形村で見ることができます。
鶴を蔵に描いた鏝絵です。鶴は言うまでもなく縁起物として、よく用いられる吉祥文様です。
まず雲水を背に飛ぶ鶴の下に波涛が逆巻き、2匹の亀が遊んでいます。
別の蔵にも同じ文様が描かれています。
よく見ると、雲水、鶴、波、亀が少しずつ違っているのが分かりますか?
同じ蔵の窓下に描かれた白浪ですが、このデザイン、優れて意匠化されているように見えますがいかがでしょうか。
同じ姿で天空を飛ぶ鶴です。縁起の良い梅花に囲まれています。
こちらは長寿のシンボルとして用いられる亀が一匹です。
同じ鶴をテーマにしても、図柄の違いを描く左官職人の面目躍如といったところでしょうか。
* 安曇野とその周辺で見ることができる鏝絵を「安曇野の鏝絵」として紹介しています。