安曇野の鏝絵-1   山里の長屋門にある松と鶴の鏝絵

鏝絵と書いて「こてえ」と読みます。鏝とは、左官職人さんが漆喰壁を塗る時使う道具です。その鏝を使って職人さんが漆喰壁に描き残した絵や文様、文字などを鏝絵と呼びます。

屋根瓦に関心が向き、安曇野とその周辺を探索している時、目に飛び込んできたのが鏝絵です。瓦屋根に瓦職人さんの技を見て感動したものですが、鏝絵に見る名もない左官職人の芸にも同じ感動を覚えました。

安曇野とその周辺にある鏝絵をご紹介します。

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まず最初に掲載したのは、堀金三田にある長屋門に描かれた鏝絵です。入り口と、北側の妻面にあります。

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正面入り口にあるのは、左右4㍍、高さ1㍍ほどの大きさで鏝絵のなかでも大作といえます。松の木を挟んで右手に2羽、左に1羽の鶴が飛んでいる絵柄です。

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鏝絵は、漆喰を材料に制作されます。鏝絵ができ上がるといろいろな顔料を練り合わせて色漆喰を作り、これで彩色します。

おそらく、この鏝絵も初めは松の木の幹や葉、鶴の頭部は彩色されていたものと想像できます。

しかし、長屋門という野外に在って太陽の光(紫外線)や風雨を浴び、退色してしまったのでしょう。

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そのことを示すように、強い紫外線を浴びない北側の絵には、赤色が残っています。

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家紋を守る雲間の龍が描かれ、龍の角や節間に鮮やかな赤色が残っています。ですから制作当初は、いろいろと彩色が施され見る目を楽しませてくれたことがうかがい知れます。

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赤色の色漆喰は、紅殻(べんがら=酸化第二鉄)を使うことが多いそうです。

退色はしたものの、年月を経た趣深い味わいを楽しめる鏝絵ではないでしょうか。

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この火伏せ龍と反対側の南側の妻面に、寶(たから)と書かれた肉太の文字があります。

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