その後、目にした安曇野の屋根瓦-4  鍾馗瓦(その4)   

穂高矢原といえば、安曇野の中でも古くから開けてきた地域になります。何度もこの辺りを探索していたのですが、「お蕎麦屋さんの屋根に鍾馗さんがある」という情報を得て翌日の休日、さっそくカメラ片手に…。       

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お蕎麦屋さんと棟続きの蔵の上に在りました。通りに面しているのですが、前を通っただけでは分からない死角になっていました。

さっそく、おとんさんの掲示板に情報提供しますと、おとんさんからのコメントが帰ってきました。

「右足を踏み込んで右手を膝に。その手に剣を握りしめた格好はいいですね。折れやすい剣を体から離して手に持たせているのが味噌ですね。屋根を修理する瓦職人さん、ものを当てて剣を折ったら……と冷や冷やしながらの作業になるんでしょうね」。

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「折れやすい剣」といえば…。

安曇野とその周辺を回ってみて、最も多く目にする鍾馗さんは下の写真のタイプです。たびたび目にしますので、量産され広く流通しているもののようです。

顔の表情も強面(こわもて)で威圧感があり、左の手を広げ悪霊や疫病の侵入を遮る仕草などデザインとしては、よくできた鍾馗さんだと思います。

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ただ、この写真でも右手にした刀剣が欠落していますが、同じように刃のないものが多いのです。おとんさんがおっしゃるように、強い風雨やものが当たっても欠損しないようなデザインにしなければなりませんね。

安曇野の隣り、筑北村を回るとこの種の鍾馗さんが多いことが分かります。(この鍾馗さんについては、kiteさん運営のこちらのブログで詳述しています)

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同じいぶし銀ではつまらないのでしょうか。こちらは赤銅色に彩色され…

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こちらは…

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白銀色に、しかも二体並んで飾ってあります。

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安曇野と周辺では、鍾馗瓦にかかわらず飾り瓦の圧倒的多くは大棟の上(中央部であったり、両端に対で)に飾られています。

従って小屋根の上や壁などに置かれているのを目にするのは、稀といってもいいでしょう。

しかし下の鍾馗さんは、家をグルリ囲った塀の上にありました。このお宅の部屋の窓が映っているのでお分かりでしょう。

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こちらのお宅は、一階の小屋根の上です。疫病神が窓から侵入するのを防ぐお呪いでしょうか。

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上の2枚の写真、いずれも剣が欠損しています。

その上の写真でお分かりになるでしょうか、細い剣が鍾馗さんの身体から離れて単独で上を向いています。これでは、少しの衝撃にも耐えられないのではないでしょうか。

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上の鬼瓦部にある小さくてかわいい鍾馗さんは、安曇野・三郷地区で初めて見つけたものです。三郷地区もこれまでになんども探しているのですが、鍾馗さんになかなか巡り会えませんでした。

高い位置にあるので、手持ちのカメラではこれ以上のものは撮れませんでしたが、おとんさんはしっかり鑑定してくださいました。

「鍾馗さんの右脇腹あたりに剥がれている部分があり、案外古いのではないでしょうか。
一品ものの強みでしょうか、ほかにはない鍾馗さんを!という作者の意気込みが感じられます」。

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