鬼瓦には、家紋を意匠したものがいろいろあります。
下は、「五枚笹」の竹笹家紋をさざ波が取り囲む豪華版です。
こちらも豪華な雲水に囲まれるように、「丸に梶の葉」の家紋がデザインされています。梶の木は、楮(こうぞ)などと同じく和紙の原料として使われてきたそうです。
荒波が、梶の葉の紋章に押し寄せている意匠です。「根付き三本の梶」紋は、諏訪神社の神紋になります。ですから「諏訪梶の葉」とも呼ぶそうです。
こちらも同じく「諏訪梶の葉」の紋章です。甲信越地方の豪族で、特に諏訪神社を信仰する人たちが用いたということです。
「丸に九枚笹」の竹笹紋の周りを、四個の菊花が装飾されています。菊花があしらわれると、一段と豪華さが増してくるようです。
こちらは、「梅の花」紋の鬼瓦の上に狛犬が魔除けに置かれています。そして、後方の棟込にも紋章がはめ込まれています。
梅は、学問の神として知られる菅原道真を祀った天神様の紋章として知られています。
金箔の「庵に木瓜」の庵紋が輝いています。周りを波が囲んでいるのは、火事に遭った場合、怒涛の勢いで押し寄せる波が鎮火するという願望を表しています。
これは、梟(ふくろう)をデザインしているのでしょうか。その胎内に「一つ楓」の楓紋が収まっています。さらにその前の鬼瓦部に「右三つ巴(ともえ)」の巴紋があります。
巴紋は神社に多用されていて、神社関係の人の家紋にもなっています。巴とは渦巻きのことで、火災予防のお呪いとして、民家の瓦や土蔵などでもよく見かけることがあります。
穂高・矢原の土蔵の鬼瓦の上に、鳩がいました。土蔵の白壁が黒く塗られているのは、戦時中、敵機から標的にされないためにカムフラージュした名残りです。
厚い鳩胸を張って、遠くを見つめています。鳩の下に「丸に三つ追い柊(ひいらぎ)」の家紋が入っています。