「安曇野の屋根瓦-16 鬼瓦(その1)」で鬼瓦の変遷について書きましたが、明治以降は火事から家を守るために「水」の文字瓦が多く用いられるようになり、今でもそれは変わらないようです。
最近の水文字はどっしりとした太文字で、金箔を貼ったものなども見受けられます。
鬼瓦を作る職人さんを「鬼師(おにし)」と呼びます。その鬼師たちが腕を競って作った水文字も、それぞれに個性があって、見ていて楽しいものです。
明科・荻原の民家ですが、力感のある水文字ではないでしょうか。
市指定の有形文化財になっている穂高・等々力の「等々力家住宅」の鬼瓦です。鬼瓦がいつのものかは定かではありませんが、建物は江戸中期のものですので、鬼瓦もそのころのものかも知れません。
下の鬼瓦は簡素なデザインですが、なんどか塗り替えられ、瓦部も赤くなっています。水文字は、白く塗られ目立つように施されています。
こちらは、屋号の上に両側の雲にはさまれる形で、水文字がデザインされています。
民家だけでなく、消防分団の倉庫の屋根にも水文字の鬼瓦がありました。消防団の施設だけに、説得力と趣があります。